臼は成長している
餅つきの臼は、はるか昔に家にあったものを使っている。
昔はどこでも餅をついていた。我が家は農家だったので尚更。木の臼は今や貴重品で、簡単に購入することはできない。
3年前に初めて「餅つきをやろう」となった時。この臼の存在を思い出し「あるので大丈夫ですよ」と伝えた。
いざ実物を見ると。パッキパキに乾燥して、臼の底に大きなひび割れが入っていた。
「直るのかな?」と思って調べてみると。水を張ると湿気で 木が膨張し、穴が塞がるらしい。
なるほど、と思って。バケツに水を一杯。いざ臼に流していると。
勢いよく水は臼の割れ目を流れて。盛大にコンクリートの床を濡らしてしまった。
水が少しも臼にたまることなく、あまりにストレートに抜けていったので。びっくりというよりも唖然としてしまった。
床を拭き、あらためて調べてみると。こういう場合はタオルを水で浸して、臼に貼り付けるようにするらしい。
やってみると、これはうまくいった。でも、なかなかヒビは戻りきらず。
都合一週間くらい、貼り付けては絞り、浸し、また貼り付け。そのくり返しだった。
翌年も、そして今年も同じように。
ふと気がついたことがある。ヒビが塞がるまでが、昔よりも早くなっている。
最初の年に比べると、臼が湿気をはるかにため込んでいるのが原因なのだと思う。
ぱっと見に変化はないが。確かに臼は成長していたのだ。
