あの日々の終わりを
去年からいろんなものが壊れては、買い直して。ついに電子レンジまで調子悪くなってしまった。
私はそんなことはなかったのだが。妻が料理でレンジを使うと、しばしば途中で動作が止まるというのだ。
長く使っていると。レンジの出力が安定しなくなって、このような症状が出るらしい。
妻がネットで調べたところ、どうやら経年劣化が原因らしい。
残念だけど。ついにというのか、やっとというのか。
電子レンジを買い替えることになった。
この故障劇には、特別な寂しさがある。
このレンジ、結婚した時に購入した家電の、最後の生き残りだったのだ。
僕らの結婚は突然で性急で。人生で一番強い風が吹いているような感覚が、当時あった。
まだ個人事業主の頃で、たまたまちょっと売上の蓄えがあった時に。必要な家電をスプレッドシートにリストアップして買い集めた。
今回故障したレンジは、間違いなくあの日求めた中のひとつだ。
結婚して15年。よく今日まで動いてくれた。
当然だけど、ずっと使い続けられるなんて。思っても、信じてもいなかった。
わかっているけど。わかっていたけど。
曖昧さで目をそらしていた現実に、突然の結末。
あの頃の最後のかけらに、いよいよさよならを言われたような。
感傷的にいえば、そんな感じだ。そうでなくても、やっぱりどこか寂しさはある。
