「その道の向こうに」は映画らしい映画で良かった。
「AppleTV+が好きだ」と言えば「それは何だ」と言われる。「オリジナルドラマしかない、アマゾンプライムの、アップル版」といえば、だいたいがっかりされる。オリジナルドラマしかないのか、と。鬼滅の刃は見れないのかと。
がっかりする気持ちは分かるし受け止めるが、AppleTV+のオリジナルドラマが面白くないかと言えばNOだ。誰もが知らないものには興味がない。騙されたつもりで見て欲しいとは思うが、相手は「つもり」ではなく「騙されたくはない」のでなかなか見てはくれない。
オリジナルドラマの他にも、独占の映画もある。「その道の向こうに」もそんな映画の一つだが、すごく良かった。
とにかく静かな映画だ。かといって物語に起伏がないわけではない。戦場からトラウマを抱えた女性が日常を取り戻す中で、一人の男性と出会う。
恋愛でも友達でもない不思議な関係を過ごしながら、お互いのことをぽつりぽつりと語り、否定し、そしてお互いのトラウマに向き合い、少し前を向く。そんな話だ。
どこまでも自分の心に寄り添うようで、常に静かでそれが心地よい。ふとした時に何度も見たくなる映画で、物語や映画というのは、そもそもこういうものではなかったかと思う。
「その道の向こうに」
更新 2023月08日23 09時05分