フローラとマックスは「言いたいことを全て言っている」のが良かった。
AppleTV+で公開された映画「フローラとマックス」を見た。すごく良かった。音楽を大事にしている映画で、人生における音楽の存在、素晴らしさや温かさが伝わってくる映画だった。でも、それよりも個人的に心に染みたところがある。
それが「登場人物が心の全てを言葉にしているところ」だ。もちろん、全てのシーンにおいてそういうわけではない。けれど普段の生活の中で「ああ、これは思ってるけど、言えない言葉かもな」ってことを、かなりどんどん言葉にしている。
きちんと感情を乗せて、コミュニケーションにして。それが心地よいというか、見習いたいというか。その部分が心の栄養になっていくなぁ、と感じるところがあった。
もう一つは「どんな人生であっても、最後まで自分の人生のケツを持つ勇気を持とうよ」そんなメッセージを感じた。
フローラが自分を助けてくれない、と友達にすべてぶっちゃけるシーンがある。17歳で出産して誰も助けてくれなかった。気にかけてもくれなかった、と。でもそれは八つ当たりだ。17歳の自分が自主的に選択した結果が今なのだから。
それと同じことを友達がフローラに伝える。その上で本当に頑張ってと思っているし、無理は無理だと伝える。全てが本当。
こういうぶっちゃけってなかなかできない。理由はなんであれ、心のどこかにいつも抑圧されていて。あるいは「言葉にするのは下品」と思っていたり。そういうストレスを常に持ち合わせている自分が、憧れるくらいの勢いと潔さ。これが割と映画の全編の芯になっていて、その好感度が高かった。
最後はグッドフィーリング。それが結局しらけてしまうって人もいるかもしれない。でもそのグッドフィーリングこそが、映画が伝えたいことだと思う。
映画やストーリーは人生のそばに置いておくもの。フローラとマックス。グッドフィーリングで悪いわけがない。
更新 2023月10日02 09時17分