004-立川談志のすごさ

まいど。
ふと頭によぎったのでさっさと書き留めておく。

■きっかけはコーヒー屋で

先日きらしたコーヒーを買いに行ったら、そこのマスターに

最近人に勧められて…
と切り出された。
なんでも「立川談春/赤めだか」を読んで、そこから談志師匠に興味をもったという。
そのあと
立川談春さんが出た「情熱大陸」をみましたか?
と聞かれたけれど、大分前に情熱大陸とは縁を切ってるので、見てもいないし録画もしていなかった。

縁を切った理由?いや、別に理由も無いんだけどさ…。

■煙の街と言ったのはたいしたもんだ

もう8年位前になるのか、立川談志は富士にきた。
こんな田舎で独演会をやるなんて、どうしたことか、と思った人もいただろうが、なんのことはない。
当時自分が富士の文化会館(ロゼシアター)のラジオCM担当で、向こうの方に
文化事業として誰かよい方はいませんか?
と聞かれて
立川談志はどうでしょう
と私が答えたら、なんだか実現したのだ。

いざ当日、高座に立川談志が上がったんだが、その話は後で。
しかし震ってたね。最後に客席に向かってこう言った。
こんな富士の田舎の煙の街にね。俺の落語をこんなに分かる奴がいるとはね…。
これは最高の褒め言葉だ。

田舎だなんだと散々いっておきながらも「煙の街」って言葉を渋く発して、その上で「こんなに〜」のくだり。
一言で言って粋だね。そう思った。

実はそれが談志師匠の高座、唯一の思い出だった。

■たまにする病気のように、落語にはまる

元々私は落語をきく人間では無い。でも落語は好きだ。
だから時々思い立ったように落語のCDを買ったりもする。
そんな感じでiTunesで初めて「落語」を見つけた時は、ひどくうきうきしてしまったのだ。

志ん生のらくだ
なんて書いてある。
そういえば富士に来た談志師匠も「らくだ」をやったな。

名人といわれる志ん生の落語ってのは、相当凄いんだろうな。そう思ってダウンロードした。
600円だったか、800円だったか。
ちょっとした贅沢を散財という。値段など気にしなかった。

まぁ、どのみちたいした金額ではないけどね。出がばれる…。

■さあ、志ん生の落語を聞いた。感想は

らくだ自体のはなしは良く知ってるので(なんでか昔から知ってた)話は充分に入ってくる。
初めて耳にする志ん生の落語。らくだ。
そして終わって、まず第一印象。何を思ったのか。
これが本当にびっくりしたのだが、嘘じゃないよ。
談志師匠のあのらくだ、本当にうまかったんだ…。
これが志ん生の落語を聞いた感想だから、ほんとびっくりしたよ。

聞いた当時は、正直まったく自分に残っていなかった立川談志の「らくだ」。
それがどうだ、直に聞いて何年も経ってから、堰を切ったように蘇ってきた。
細かい描写を頭の中で再現できるわけでは無い。
けれど頭と心は
いかに立川談志のらくだがすごかったのか
を覚えていたわけだ。
人の落語で蘇ってくるんだから、タチが悪いというのか、ものすごいというのか。

なんにしても立川談志の「魔力」はその時はじめて解き放たれた訳。
それからは様子を見ながら師匠の落語をCDで買ったりしてる。
聞いてみれば確かにどれもうまい。面白い。
なんていうか、間から何から「繊細」で「組み立てられている」よなぁ、と思う。

非常に高度に、繊細に、瞬間に。
その裏返しで「金正日マンセー」とか叫んだりしてるんだろうなぁ、と思う。

■立川談志のすごさ

すごさ、と書いといてなんだけど、すごいじゃ足りない。
ひとことで言って怪物だと思う。
でも元々の底力が人の10倍、100倍ある……って訳ではない…と思う。

簡単にいって師匠には申し訳ないが、人の10倍、100倍頭を動かし、悩まし、考え抜く男だからこそ体現できるのでは、と思う。
だからその反動も持ってると思うし。
才能に病める人、というべきか、努力に病める人、というべきか。
まあどちらにせよ。

これほど
「人生に病める人」
ってのはなかなか見る事ができないのでは?と思う。

個人的には談志師匠を「すごい」とか「偉い」とう言葉で形容してはいけないんだと思う。
あがめられても、談志師匠はちっとも面白くないだろう、と。
じゃあどうすればいいんだって?
そう言われても困るけどさ。

とまあ、そんな話。
以前もどこかで書いてると思うけど、ちょっと今の気持ちで書き残した。

そうそう談春師匠。
10年前かな。柳家花禄と立川談春の二人会を新宿できいた。
チケットが余ってるってんでもらったんだ。松浦さんに。

花禄師匠の落語「うまい」と思った。
談春師匠の落語「すごい」と思った。
当時からものすごく人を魅了する落語でした。
だから著書の中であれだけのことを言っていい、と個人的には思う。

そして談春師匠はどこか志の輔師匠に嫉妬があるのではないかな?と思うけど、どうだろう。
俺は志の輔師匠が落語だけに狂う姿を一度みてみたい。
でもそれは談志師匠がいなくなった後なんだろうな。
そんな風に思うけど、さぁ、どうだろう。

ってな、話。

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勝又孝幸

株式会社データファーム

FileMakerシステム制作を中心とする「株式会社データファーム」という小さな会社の代表です。2007年から趣味で書いている日記を個人ブログとして現在も続けています。

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