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自分の夜道を作る

古い話で恐縮してしまうのだが、20代前半は阿佐ヶ谷に住んでいた。当時の勤め先が京橋にあって、そこに通うのに選んだ住まいが阿佐ヶ谷だ。

当時のことはうろ覚えになってきてるのだが。「仕事の先輩がなんで訳の分からないことを言うのだろう」とか「当時付き合っていた彼女と週末何をしよう」とか。あるいは「ウェブサイトでこう言うのを作ってみたいな」とか。

いろんなことを考えていたのだが、そういうあれこれを考えていたのは、大抵会社からの帰り道だった。ウォークマンでフィッシュマンズのライブアルバムを聴きながら。ふわふわしたような心地になって、あれこれ色々考えるのだ。当時は多分まだiPhoneなどはなかったと思う。

当然TwitterやSNSもなかった。人の意見を見ることもなく、人に意見を言うこともなく。自分の好きな音楽を聴きながら、自問自答で1Kのアパートまで帰っていった。

そこからざっくり30年弱経って、結婚もして子供もいて。一人暮らしではなくなった。それ以上にSNSとかTVerとかいろんなコンテンツの窓口ができて、パソコンの前によいしょと座らなくても、手軽に気軽にいろんな「自分以外」にアクセスできるようになった。

つまりは自問自答の時間が減った。集中が乱れやすくなった。

昔は良かった、なんて言うつもりはないが。昔できていたことが、今出来ていないのでは、と思う。自問自答ばかりをする必要はないが、身近な子供の様子をじっくり見る代わりに、あくせくとスマートフォンを見ているのではないか、とか。

そんなことを考えたら、ふと浮かんできたが20代の夜道のことだった。あの頃の夜道みたいな感覚や時間を、もうちょっと意識してつくった方が良いのかもしれない。

何か自分の中から見つかる大事なことを、見逃し続けているのではないか。そんな気がした。



更新 2022月09日08 13時15分

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勝又孝幸

株式会社データファーム

FileMakerシステム制作を中心とする「株式会社データファーム」という小さな会社の代表です。2007年から趣味で書いている日記を個人ブログとして現在も続けています。

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