君たちはどう生きるか、を見てきた。
「この歳でよく作れるなぁ」
というのがまず思った感想だ。ネットでちょこちょこネタバレを見るくらいなら、先に映画をみてしまいたいな。
そう思っていたら妻がチケットと時間を抑えてくれた。それで一緒に見に行ってきたのだ。
ネタバレは避けるけど。僕は面白かったし、飽きることなく最後まで見た。
お話としてストーリーを練り込んで。その上でエンターテイメントにした、というような作品ではないと思う。
「こういう絵を描きたい。こういう思いを描きたい。」
というのがまずあって。それをエンターテイメントとして繋ぎ合わせたような気がする。
とはいえ、作品自体に一貫したテーマはむしろあって。そのあたりが破綻せずにうまいバランスで作られているのかな、と思った。
あと、どう見ても。どうとっても。宮崎駿の最後の長編作品だ。
そこにメッセージはあるし、わがままもあるし、こだわりもある。そうしたものが「映画を破綻させている」と見る向きもあるようだが。
僕は全くそうは思わなかった。破綻は感じなかったし、それ以上に
「これだけ表現したいことがあって、いいな。そして表現し切れて、いいな」
と思った。
作品に年齢のことを言うのは野暮かもしれないが。82歳の作品だ。それがこれだけ「大人しくない」というだけで、あっぱれだ。
メッセージの中には、ある人には古臭く、押し付けがましく感じるものもあるかもしれない。
でも、そもそも。表現とはそういうものだとも思う。自分と違う意見だからといって「ダメだ」という気は毛頭ない。
その上で暴論や意見の押し付けがましさ、乱暴さというようなものはこの映画にはないと思う。
そこはあくまで丁寧。その上で、たとえ丁寧であっても「ぱっとわかりにくいもの。なんとなく掴むようなもの」を表現しているのだと思う。
こういう作品がある、ということが豊かさの一つだとも思う。こういう作品、と書いたけれど。僕にとっては充分にエンターテイメントの中心に、どんと鎮座している作品だと思う。
一言で言えば、見てよかった。
更新 2023月07日21 09時27分