若い人はイヤホンで音楽を聴くから、音楽を聴く解像度が高い。
最近の若い人の音楽。
すごくレベルが高くて、気持ちよくて。そしてクリエイターも多くて。若い人の人口比率は、昔に比べて低いのに、なんでこんなに音楽できる人が多いんだろう。あるときふと答えが降りてきた。
「ああ、イヤホンで音楽を聴いてるからか」
昭和のおじさんにとっては青天の霹靂。自分でも「そこか!」という気づきだった。厳密にはタブレットの登場、Youtubeの存在、GarageBandによる無料の入り口。ターニングポイントは色々ある。それらの大事な要素の下支えになっているのが「イヤホン」厳密に言えば「すっかり品質がよくなった最近のイヤホン」のおかげだ。
昔のイヤホンは「ステレオスピーカーの劣化品」だった。外でなんとか音楽を聴くためのもの。品質は置き型スピーカーに劣るけど、外でも音楽が聴ける「汎用的な製品」ある意味二番煎じ。イヤホンの登場がそんななので、そういう印象がすっかりついているのだ。
でも今のイヤホンは違う。本当に細かい音までよく聞こえる。Appleは現在、空間オーディオを推している。これに対応してるHomePodを2つ、リビングで利用してるのだが、「あれ?これすごくない?」ほどのインパクトは、実はない。
違いは確かにある。ジャズやクラシックなどの音楽はその良さを感じやすいが、ロックやポップスは今ひとつ。置き型の、決して品質の悪くないスピーカーでもそんな感じだ。音楽を選ぶ。
ところがこれをAirPodsProで聴くと鮮明に「これすごい!」とわかる。最近だと水曜日のカンパネラのエジソン。外で聞いていて「あれ?この曲。鳴り方すごくない?」って見直したら空間オーディオ対応音源だった。その後に、米津玄師のKICKBACKが流れたのだが、あれだけよくできている音楽が、ちょっと薄く感じたほどだ。
そのKICKBACKは間違いなく今年の名曲で、二次創作、意図の展開、音作りのどれをとってもすごい。細かな音づくりや「ここにこの音があるのか」というのは、スピーカーで聴くよりもイヤホンで聴いたほうがはっきりわかる。細かい一音一音が、スピーカーよりも近いのだ。Youtubeで世界にむけて公開されたKICKBACKのPVも最高。
色んなサブスクも加わって、世界中の人いろんな人がこの曲を聴いて楽しむ。その中にイヤホンを顕微鏡のように使って、ひとつひとつ解剖しながら理解していく人たちがいるのだろう。
音楽的に解像度の高いこの曲が、彼らによって新しい地肉になって、次の文化や新しさになる曲が生まれるのだ。彼らが手探りする最初の道具は、GarageBandだったりいろんなフリーミアムのツールだろう。そんな彼らの作った「音」というフィードバックをうけとるのもまた、イヤホンなのだ。
そう考えると、イヤホンが下支えしている領域というのは、本当にすごい。すごいね。
更新 2022月11日16 13時26分