後からなら、なんでも言える
サッカー日本代表戦が終わって、いろんな感想がある。ここまで来ることができて、素晴らしい。あのPKはない。もっと練習すべきだ。どれも正解だとは思う。
なにかが終わった時。それは「新たになにかが分かった時」でもある。日本代表は戦いを終えてみて「PKの準備が足りないとわかった」としよう。
その時に「PKの準備ができてないからダメだ」「PKの準備がもっとできていればよかったね」「もっと合宿の時からPK練習をしていれば良かった」PKひとつとっても言い方はたくさんある。その理由は、人によって配慮や視点が異なるからだ。
個人的な意見で言えば。日本がドイツと戦う以前に「日本はPKの練習が足りない」と指摘できた者だけが、クロアチア戦の結果について「PK練習が足りなかったから」と「批判」という形で指摘できると思う。
ゲームの「デッキ」ではないが。日本代表選手の選出。それを元にした戦略、実際の試合まで。勝ち進めば勝ち進むほど選手に負傷や出場停止も出てくるだろう。
デッキにあるカードの数はどんどん減っていく中で。クロアチア戦で完全にカードを使い切ったのではないかな、と個人的には思う。カードを余すことなく使い切ることの方が難しい。その部分ではギリギリのところまで、日本代表はよくやったと思う。
練習時間、ノウハウ。体力、理解力。いろんなリソースの使いどころも。PKよりももっと手前の、やるべきことをやった結果。それが決勝トーナメント進出だったのではないか。リソースの使用を間違えれば、そもそも予選敗退していた可能性が高かったように思う。
それらを考えると日本代表は「PK戦に持ち込んではいけない」というのが勝利条件だったと思う。そのためのリスクをとって、しっかりメリットを享受できたから、得点もできたし、PKまでもつれ込むことができたのかな、と。
引き分けでは甘い、という意見は最もなのだけど。日本人が日本代表に勝ってほしいように、クロアチア人もクロアチア代表に勝って欲しい。全てがこちらの都合のいいようにはいかない。
後半クロアチアが1点を返せたことで。クロアチアは「日本代表の戦略を受けてから考える」ということができるようになった。これが大きいのかな、と途中から試合を見出した半端な自分は思う。
そうすることで、日本の消耗が大きくなる後半や延長になればなるほど。自分たちはフレッシュな選手を入れることができる。体力、スピード、メンタルなどで優位に立てる、と踏んだのではないか。実際それがPK戦にまで及んだのかな、という気はしている。
そうなると。日本の課題は後半の失点。そこを防いでいればPKになることもなかった。90分で勝ち切ることができたし、実際そのための交代をしていたように思う。
それでも結果が得られなかったのは、失点が原因。それをどうやってなくしていくか、というのが個人的な今後の「日本の課題」なのかな、と思う。
選手が自分で自分を褒めることは、日本人のメンタリティでは難しい。これはどの国でも結果を求められる以上難しいのかもしれない。
なので自分はまずは褒めたい。良かったところを取り上げて、それを評価し、伝えられる人になりたい。仮にPKの改善に取り組むとしても。選手が疲れ切った、新たになにかを吸収する余裕のない、今じゃない。
正論は存在するが、相手の立場をおもんばかることができなければ。正論に意味はない。少しの間違いで人を傷つける刃にもなるのが、正論。意気揚々と振り回すなんてできない。
その正論だって、終わってからわかったこと。予見できたことではないのだ。後からなら、なんだって言える。
後からではなく、先に。予見をして、それをきちんと相手の立場を踏まえ、伝えられるようになりたい。
更新 2022月12日07 11時03分